2018年7月25日、渋谷E-BASEで”DJを始めたいエンジニア”をターゲットとした勉強会「エンジニアのためのDJ Meetup #2」が開催されました。”エンジニアとDJ”というテーマが話題を呼び、用意されていた枠を大幅に超える参加希望者が殺到。DJ枠にいたっては4人の枠に17人が応募するという大盛況ぶりでした。今回は、5名のDJによるLT(ライトニングトーク)を中心にイベントの模様をレポートしていきます。
0から1ヶ月でDJになるまで
オープニング登壇DJは「masuidrive」氏。準備期間1ヶ月でDJを始めるにあたり何をしたのか?というテーマでノウハウが公開されました。
DJオファーから1ヶ月後の本番までのいきさつがタイムライン化されているというエンジニアめいたスライドが登場。出演の日が決まっていたのでいつまでに何を用意するのかを意識したそう。”エンドが決まっているのは大切”ということがわかります。
DJするにあたり準備期間に行ったのは「ジャンル選び」「曲選び」「機材選び」「機材の使い方習得」「Mixの基本習得」「DAWの習得」で、ハーモニックミキシングの理論を導入するのにキー検出ソフト「Mixed in Key」を導入したとのこと。
結論のあとは告知タイム。エンジニアのゆるいつながりがテーマの「POP TECH PARTY」が8月20日に開催されるとのお知らせでした。
やろうぜ!DJ
登壇DJは「HolyGrail」氏。早稲田茶箱で定期開催しているイベント「kosen DJ部」のレギュラーDJです。
「まさにライトニングトーク」といったスライドがガンガン流れてくるスピード感あふれる発表でした。
みんなが想像しているDJのイメージ「チャラい」「かっこいい」「モテそう」「なんか難しい」は実際はそうでもないよ、というテーマ。「DJはモテそう」というイメージの実際は「モテない」であり、悲痛なツイートが例示されました。
「DJは難しい」というイメージの実際は「難しくない」。ここからが本題で「iTunesとAVケーブルとスピーカーがあればもうすでにDJ」と、実はDJを始めるのはそれほど難しくないとのこと。音楽を全力で楽しむという”気持ちドリブンDJ”が提案されました。
やっていく過程で機材が欲しくなったらuinyan.comが参考になるそうです。ありがとうございます!
DJは皿を回すだけじゃねー サンプラーによるDJ入門
登壇DJは「160 a.k.a. vikke」氏。「DJは皿を回すだけではない」というスローガンのもと、Elektron社製サンプラー「Octatrack」でDJプレイをするためのノウハウが公開されました。
OctatrackでDJプレイをするためには、縦フェーダーを持つMIDIコントローラーを追加する必要があり、そのためにMIDI-USB変換としてRaspberry Piを噛ませているとのこと。またOctatrackを深く理解するために「OCTATRACK日誌」というサードパーティ製マニュアルを入手しておくと良いそうです。
このあとのDJタイムでOctatrackのDJプレイを拝見しましたが、出音が強烈で物凄かった。
最後はイベントの告知タイム。9月22日に早稲田茶箱で「IT業界プチクラブ的ナニカ vol.1」を開催するとのこと。
よく分かるドラムンベース
登壇DJは「DJ FMY」氏。現在最も調子のいいジャンル「ドラムンベース」の魅力がクローズアップされました。
音楽配信サイト「Beatport」のジャンル別売上チャートによればドラムンベースの順位はじわじわと上がっているそう。ドラムンベースが最も調子のいいジャンルということがここからも伺えます。
また、ドラムンベース界の大御所「ゴールディ」は大英帝国勲章を授与されており、「ドラムンベースはイギリスにおいて地位が認められたジャンル」とアピール。
国内におけるドラムンベースの情勢も共有され、最後に「We want you for drum’n’bass (ドラムンベースに君が必要だ)」で締めくくられました。ドラムンいいよドラムン。
勉強会におけるDJ
登壇DJは「tnj」氏。国内最大規模のAndroidデベロッパーカンファレンスである「DroidKaigi」でDJをした、というエピソードが紹介されました。
2015年から始まったDroidKaigiのDJタイムは、Google公式のカンファレンス「Google I/O」にあるDJタイムを踏襲して開始され、初回は会議室にぽつんとDJ機材がおいてあるというかなり違和感のあるセッティングに。また、JASRACと包括契約していない会議室でのDJなのでJASRAC登録曲は使えないという制約があったとのこと。
”Androidのデベロッパーカンファレンスでやるからには”と、「Androidという曲名だけでMIX」「会場のスクリーンで音楽に合わせて動くアニメーションを表示」など、さまざまな工夫を凝らした話も。
そういった様々なアイデアを込めたDJプレイは来場者に好評だったとのこと。
といったわけで、カンファレンスDJは楽しいぞ!というお話でした。なお、2019年2月に開催するDroidKaigi 2019のDJを募集しているので我こそはという方はぜひ、とのことでした。
登壇DJによるDJプレイ
大変健全な時間に至って真面目なDnBでブチ上がっております #edjm pic.twitter.com/URF1bjPnnA
— Yuki Fujisaki / tnj (@tnj) 2018年7月25日
LTのあとは登壇DJによるDJ実演となりました。
#edjm VJかっこよい pic.twitter.com/F1vZfkW2kT
— Daiki Matsudate@執筆中 (@d_date) 2018年7月25日
Holygrail氏と組んで世にも珍しいVJ付きLTや、VJのハンズオンなどをしておりました。楽しんでいただけたのであれば幸いです☺️ #edjm
— とーかさん (@touka_tt) 2018年7月25日
VJも完備されておりました。
CDJ-TOURかと思ったらDDJ-RZXだった 機材も箱も巨大すぎて笑う #edjm pic.twitter.com/ogrAtANQtE
— ✨私がういにゃんだ✨ (@ui_nyan) 2018年7月25日
超巨大なDJコントローラー「DDJ-RZX」も展示されていました。なんと社の備品とか。
参加してみて気がついたこと
DJはじめるのは簡単!
「難しいんじゃ?」と思われるDJですが、そんなことはないんだなと感じました。
スマホがあれば「djay Pro LE」「cross dj」といった無料のDJアプリで遊べるので、とりあえずそこからスタートするのがよさそうです。
Mixed in keyがすごい
masuidrive氏、tnj氏が特に推していたMixed in key。キー検出だけのソフトだと思っていましたが、よくよく調べてみると「曲が盛り上がる場所を可視化」「曲のパワーを検出」「ちょうどいいところに自動でCUEを設定」といった機能があり、曲の仕込み作業をかなり時短できるツールになっているそう。価格は6800円で、まず30日無料お試しもあるのでとりあえず試していきたいと思いました。
エンジニア×DJというジャンルの可能性
実際にイベントに参加してみて「いる人みんながエンジニアでDJ」というのはかなり刺激的な空間でした。また登壇DJが全員プレゼンをするというのもエンジニアめいていて最高でした。このフォーマットや集まり方は、パーティーの1ジャンルとして盛り上がっていくのではないかと思います。
まとめ
第3回がたのしみ!
公開されたスライド
masuidrive氏 : 0から1ヶ月で DJになるまで – Speaker Deck
DJ FMY氏 : よくわかる「Drum and Bass」 – Speaker Deck
tnj氏: DJing for Engineer Meetups (DroidKaigi edition) – Speaker Deck